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フィットネスクラブ・スクールなど施設・店舗のための会員管理・予約・決済システム「hacomono」 開発チームの技術ブログ

Apple Business Managerを導入するまでの流れ

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こんにちは、株式会社 hacomono 開発チームの門田です。

昨今スマートフォンタブレットが当たり前の様に普及している現代ではそれに伴ってアプリも多種多様で数え切れないほど市場に出回っています。 スマートフォンが生活から切り離せなくなった分、プライベートだけでなくビジネスの場でも多く活用され会社でも新サービスを立ち上げる際にはアプリ化は想定としてほぼ確実に挙がります。そういう時代ですね。

弊社が現在メインで提供しているサービスのhacomonoでも、当然その話はありましたがサービスの構造上でアプリとしての落とし所はCustomer向けではなくBusiness向け、店舗などの運用を補佐する役割の企業向けアプリという方向となりました。

www.hacomono.jp

つまりは「特定の端末でのみ」インストール可能なアプリを提供したいわけで、通常のストアに載るのマズいというわけです。 そこで調べたところ、Apple Business Manager(以下ABM)というウェブポータルがあり、コレを利用することで特定のユーザーにだけ作成したアプリを配布できるというまさに願ったり叶ったりのモノが見つかりました。

企業向けアプリとするために

企業向けアプリで店頭補佐の役割と、ブランドイメージなど諸々の点から今回開発した企業向けアプリはiPad向けアプリとして開発を行いました。 (アプリ開発に関しての詳細はまた別の機会に)

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そのアプリをいざ配信しようと思い、調べてみるとアプリを審査提出する際にカスタムAppとして申請を行えばストアには公開されず、ABMで配布が可能ということが判明し早速appstoreconnectへアクセスし配布設定画面で件の項目を探し、見つけました。

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「Appの配信方法」の項目で非公開(カスタムApp)として設定し審査を行えばOK!という流れですが...

非公開を選べない(スクリーンショットは運用後のものなので選べてる)

という状態でした。よくよく調べてみると、通常ではアプリを配信する際に無料配信のアプリであればApple Developer Programの契約は無料アプリ配信のみ手続きすれば良いのですが、例え無料のアプリでもABMを利用する場合には有料アプリ側の契約手続き(開発者の情報や税金、銀行口座登録)を行う必要があるとのことです。

EIN番号

基本的には英語ですが、大体「ここはコレ書いてね」という項目にこちらの情報を書いていくだけで特に困るところはないのですが一箇所聴き馴染みのないものがありました。

EINというEmployer Identification Number(米国納税者番号)が必要とのこと。弊社は日本なので不必要なのでは?と思いましたが、どうもAppleの本社が米国なので、米国側の納税者番号を発行してもらい入力する必要があるそうです。

EINを取得するための3つの方法

  • 1つ目は郵送。必要書類をサイトから印刷し、記入後に米国のアメリカ内国歳入庁に書類を郵送し、問題がなければEINが発行されて届くというモノです。ただし届くまで1〜2ヶ月かかります。
  • 2つ目はFAX。同じく書類に記入したのちにFAXで先方に送付し、だいたい一週間ほどで返答があるとのこと。
  • 3つ目は電話。電話したその日にそのまま手続きが進んでEINを即日発行してもらえるというモノ。

会社として取得する場合には色々な手段を用いることが可能ですが、個人の開発者が有料アプリを配信をされる場合にはこのEIN番号の取得が一番ハードルが高いところでしょう。不安な場合には請負い業者などに依頼するのが望ましいかもしれません。

また、現在はコロナの影響下で直接的な物でないにしろ他国間との手続きには時間を要してしまうことは大いにあり得るため、余裕を持って手続きを行うことが推奨されます。

アカウントの作成

EIN番号を取得し、無事に契約手続きを完了したためアプリをカスタムAPPとして審査提出することが可能となりました。 しかしここでカスタムAPPとして申請する際に、連携先のABMアカウントを指定する必要がありました。 そのため、審査提出の前にまずABMのアカウント作成をABMページより行います。

business.apple.com

アカウント作成後、アプリ申請画面で該当アカウントを選択し審査に提出します。基本的に審査の流れは通常のアプリと同様で審査が通れば配布が可能な状態となります。ここで注意すべきはアップルストアに載せたくないアプリであっても配信状態のステータスにしておく必要があることです。 配信状態となりますが、ストア上では非公開状態でABM経由からでないとインストールは行えない状態となります。

インストールコードの生成

無事にアプリ側の審査が通過し、ステータスを配信状態にするとABM側の管理画面上に対象のアプリが表示されます。 (ABM側の適用まで若干時間差があるので長くても一日は気長に待ちます。)

この際に、ABMとしてアプリを配信する手段が二通りあります。

  • ABMアカウントで管理設定されている端末にのみ配信する
  • ABM管理画面から発行可能なインストールコードを使用してApp Storeからインストールを行う

完全に社内向けのアプリの場合は前者の利用が推奨されると思われます。 不特定多数のユーザーに対してのインストールを促すケースの場合にはインストールコードを発行し、それを付与するのが良さそうです。

インストールコードはApp Storeではギフトカードなどを入力するフォームと同一箇所に入力・送信を行えば即座にその端末にアプリがインストールされる仕組みとなります。

流れとしてはEINの取得が一番の難所であり、それ以外は実のところそこまで複雑ではなくすぐに導入することが叶いました。アプリ開発の時期と並行してEINの取得を進めるのが一番効率が良さそうです。 (今回アプリ開発後に取得に臨んだため、やはりリリース時期が遅れました。反省点です。)

  • 配信するアプリ作成
  • Apple Business Manegerアカウントの作成
  • EINの取得(最優先)
  • (無料アプリでもABM利用の場合)有料アプリ契約手続き
  • カスタムAPPとしての審査提出
  • ABMより配信設定

一度手続きを行えば今後同様の設定を再度行うことはほぼ無いと思われますが、些細な物でも先人がメモを残してくれていると助かることは今まで数多く経験してきたのでもし今後触れる機会のある方の参考になれば幸いです。