
この記事は hacomono Advent Calendar 2025 の21日目の記事です
はじめに
ノーコードで在庫管理アプリを作ってみたら趣味になった話、という記事を以前投稿した、
株式会社hacomonoでSCMを担当しているこんちゃんです。
生産管理だけでなく、SCM全般を担当するようになりました。
相変わらずコードは書けません。
2023年末のアドベントカレンダーで「スプレッドシート限界民なのでノーコードで在庫管理アプリを作ってみたら人生変わった(意訳)」わけですが、その後どうなったの?というお話をしていきます。
今回はより強力に、スプレッドシート限界民同志たちの背中を押すことができると思います。
気になる方は前回の記事を見てからもどってきてね。
現在利用しているものがこちら

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> スプレッドシートに戻ってる <
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忙しい人のためのまとめ
結論、専用システムを入れることになりました。
💭(スプレッドシートですらない…)
なぜAppSheetからスプレッドシートに回帰したかについて。
前回AppSheetの記事を執筆した当時(約2年前)時点では、まだまだ精度が不十分だったAIが、すっかり頼れる相棒に成長していたことが1番の理由です。
AIを相棒に何をしたかと言うと、AppSheetより遥かにナレッジの蓄積されたGAS(Google Apps Script)を書くことです。
よって、現在はGASをフル活用した、生産計画等を含めた在庫管理をしています。
しかしスプレッドシートではどうしても越えられないデメリットが出てきたこともあり、最終的にシステムを導入する決断をした…という経緯になります。
時の流れ
- スプレッドシート(数式)
- AppSheetアプリ
- スプレッドシート(GAS)
- 専用システム導入するぞ! ◀︎イマココ
どうしてこうなった
ここからはどんな紆余曲折を経て専用システムを導入するに至ったかをお話していこうと思います。

…と、前回の記事でお話していました。
あれから1年半と少し、ずっと一人でhacomonoのSCMをやっておりました。
とすると、アプリのメンテナンスをする人は私以外におりません。
だというのに、プロダクトはあれやこれやと次々リリースされていきます。
AppSheetの在庫管理アプリは、当時の私には最高のツールでした。
ただ、数ヶ月ぶりにメンテをしようと開いてみると
🙄 あれ…?このトリガーってどういう設定だったっけ?
🙄 このフィルター、どうしてこの設定にしたんだっけ…??
という状態になってしまいました。
いくらAppSheetを触るのが楽しくなったとはいえ、そう毎日使うものでもないので、日々の業務に忙殺されているとあっという間に使い方を忘れてしまっていたのです。
🫠 これは…無理だ…管理しきれない…
となり、気づけばスプレッドシートに逆戻りしていたのでした。

今となっては全て設定根拠を残しておけばよかったなと思うものの、作った時は記憶に新しいのでなかなかそういう思考にならないんですよね。
そしてあとで後悔する。
人間は愚か…
AIと仲良くなろう
そんなこんなで戻ってまいりました、懐かしのスプレッドシート。
セルを眺めて関数を書いて、フィルターかけて。
管理はシンプルですが、痒い所に手が届きません。
😇 あれもこれもやりたいけど関数じゃ厳しいなあ
😇 別のシートを用意しないと実現できないなあ
😇 シートがどんどん増えていくなあ…
そんな時です。
2023年、AIが急速に進化し、企業や個人でも本格的に使われ始めました。
2024年に入ってからはより高精度になり、業務での実用性が確立されていきます。
私がAIに触り出した最初の頃は、「こういう関数を書いて欲しい」とお願いしても謎のエラーを起こす式が返ってくることがよくありました。
それが、「こういうことがしたいから関数教えて!」というだけで概ねちゃんとした回答をもらえるようになりました。
そんな進化したAI相手に、在庫管理も含めた生産計画資料の運用を相談する中で、「スプレッドシートxGAS」を提案されたのです。
コードは書けないので、半信半疑でまずはSlackに通知を飛ばす程度の小さな自動化をしてみることにしたのでした。
結果は上々。
不慣れな中だったのでラリーは多くなりましたが、無事、任意のSlackチャンネルでスプレッドシートの内容をつぶやいてくれるbotが爆誕しました。
コードが書けない自分にとっては、少し悪戦苦闘する程度で、立派に動くGASを構築できたことに大変感動しました。
この経験を通じ、「これはいけるのでは…??」という手応えを感じたため、在庫管理も含めた生産計画資料全般をGAS化していくことに決めたのです。
自分ひとりでは絶対に完成させられなかったコードが、AIとやいやい言いながら形になっていく感覚は、前回のAppSheetとはまた違った達成感がありました。
スプレッドシートの限界
そうして完成した生産計画のファイル。
生産計画を入力してGASを走らせると、
入出庫履歴から自動で今の在庫数を算出してくれ、
いつまでに何をどれくらい発注すべきなのかという調達計画まで出してくれるようになりました。
数式がほとんど入っていないので、ファイルも軽量でスムーズです。
メニューから選択し、ポチッと押すだけで自動で処理が走るので工数の短縮にもなりました。
順調に見えたスプレッドシートxGASの運用ですが、やはり落とし穴はあるものです。
「あれから1年半と少し、ずっと一人でhacomonoのSCMをやっておりました。」
この文章が実は伏線でした。
そう!なんと我がグループに新しいメンバーが増えました!!!

さて、人が増えると何が起きるか。
自分だけが触るファイルではなくなります。
うっかり誤操作してマスタデータを削除してしまったり、
作業のため列を追加してレイアウトが崩れてしまったり、
あれやこれや…
予想しないことは起きるものです。
社内ルールを設定すれば解決では、という意見もあると思います。
しかし、人がやることなので、ルールを決めたところでミスはあるものです。
特に、プロダクトによっては特別な計算式を適用しないといけないような例外処理も増えていた時期でした。
徐々に私しか全容が分からないファイルとなっていき、結局属人化しとるやないかい!という状態になってしまいました。
人も増えたことだし、ここらでそろそろちゃんとしたシステム導入を検討すべきではないか…と重い腰を上げ、マネージャーに相談しに向かったのでした。
システム導入するまで
なぜ専用システムなのか
AIに学習させるためのデータを、効率よく人為的ミスなく蓄積するため
これが一番の理由でした。
スプレッドシートでは、どうしてもデータの入力ミスや入力のブレ(表記揺れ)が発生します。
全角や半角、日付のフォーマットなど、人間が見れば同じ情報でも、AIに読ませるには綺麗なデータの方が良いです。
システムを導入し、日々入力するだけではただのデータベースです。
このデータベースを如何に活用するかを考えた結果、やはりこれからはAI活用、という結論になりました。(次項”未来の在庫管理”の話へ続く)
要件定義って大事
まず、自分が実現したいことを箇条書きにしてからAIに整理してもらいました。
蓄積したいデータの内容やシステム利用料、SaaSなのかオンプレミスなのかといったところまで、色々な観点から要件を列挙しまとめていきます。
AIが「それならこういった機能が必要ですね。具体的にはこういう要件のシステムを探すといいでしょう」といった感じで整理してくれたので、それをもってシステム探しの旅を始めました。
試行錯誤の選定プロセス
ネットで検索して資料請求をしたり、展示会にも出向き見て回ったり、打ち合わせを設定し質問したり…と、選定を進めていきます。
時には、hacomonoがSaaS企業だからか、導入をお断りされたこともありました。
これは想定外でした。
🫠 違うんです!IoT部はハードウェアを作ってる部署なんです!!
と言ったところでどうにもならないのでしょんぼりです。
気を取り直して、他の候補システムの検討を進めました。
金額、機能、サポート体制、カスタマイズ性などの各項目を比較検討したり、SCMOpsグループ外の人にも第三者目線だったり監査目線だったりの意見をもらいつつ、絞り込んでいきます。
どのシステムも一長一短あり、「完璧なシステム」は存在しないのだと実感しました。
システム導入、されど道半ば
稟議も通り、いざ導入!
…したのですが、きちんとした運用をするにはM-BOMの見直しや、自社の登録ルール設定が必要です。
フルスクラッチではないので、自社の管理方法をある程度システム側に寄せる必要があるからです。
「SKUナンバーと部品No、どちらを登録するか」
「製品と部品の紐付け・階層構造はどうするか」
「取引先名称の表記方法」
などなど。
システムの本番環境を使い始める前に決めないといけないことが山ほどありました。(現在進行形)
導入完了!あら不思議!とっても綺麗なデータが出現しました!!!
なんてことには当然なりません。

過去データの移行やら、マスタの整備やら、運用ルールの策定やら…
最初の登録で人間がつまずいたら、AIが美味しく食べることができないデータベースが作られてしまうため、ここが踏ん張りどころです。
幸いなことにこういった業務は比較的好きな方なので、楽しくも頭を悩ませる毎日を送っております。
未来の在庫管理
AIに学習させるためのデータを、効率よく人為的ミスなく蓄積するために専用システムを導入するのだ、というお話をしました。
「この部品は来月不足しそう」
「この製品の在庫回転率が悪化してる」
「この製品、先月からイレギュラーな出荷パターンが1週間続いてるから在庫がなくなる危険性がある」
などといった予測をしてもらいたいと考えています。
そのためには、今のうちから質の高いデータを蓄積する必要があります。
日々淡々と蓄積されたデータを利用し、AIがバリバリ分析を実行する。
人間は人間にしかできないこと…判断や意思決定、例外対応に集中。
これも適材適所の役割分担かもしれません。
そんな未来を夢見て、今日もシステムと格闘しています。
スプレッドシートからAppSheetへ
そしてまたスプレッドシートへ
と試行錯誤しながら、生産管理をはじめSCMという業務に向き合いつつ、今回は専用システムに辿り着きました。
来年のアドベントカレンダーで
システム導入挫折したんで、やっぱもう一回スプレッドシートに戻りました(✌'ω'✌)
とか書かないで済むように、整備がんばっていきます。