
こんにちは。hacomono でプロダクトエンジニアをしているタクです。hacomono の機能開発をしながら、社内の AI 活用推進にも取り組んでいます。
最近は、一人ひとりの「いつもの作業」をスキル化して共有できる仕組みを開発・運用しています。
この記事では、この仕組みを「使ってもらう」ために工夫してきたことを 3 つ紹介します。まだ広まっている途中で、正解にたどり着いたわけではありませんが、社内の AI 活用推進に取り組んでいる方の参考になればうれしいです(※1)。
先に 3 つの工夫を一覧にしておきます。
🧩 特定の AI ツールへの依存を避けるため、__gh skill を採用した
⇒ 理由:特定の AI ツールに依存すると、使える人が狭まる
💬 専用スキルで Git 操作を隠し、登録・更新・インストールを自然言語だけでできるようにした
⇒ 理由:Git に不慣れな人には、スキルの登録・更新・インストールの操作が敷居が高い
📣 専用の GitHub Pages を用意し、宣伝活動(社内 LT 会での発表、個別の声かけ)を実施した
⇒ 理由:「共有の場」があること自体に気づいてもらえない
(※1)今回紹介する取り組みの規模は、プロダクト部門のうち 100 人程度に対しての普及活動で、頑張れば私が全ての方に個別にアプローチできる規模です。規模が違う場合はまた別のアプローチがあると思います。
工夫1:特定の AI ツールへの依存を避けるため、gh skill を採用した
エンジニアだけでなく QA・デザイナー・PdM など、さまざまな職種が自分用のスキルを気軽に登録できる社内の GitHubリポジトリを設けました。
これまで一人ひとりの手元に埋もれていた AI ナレッジが、みんなが見える形になります。
公開されたスキルは、他の人が取り込んで使ったり、中身を読んで作り方を参考にしたりもできます。

エンジニアは Claude Code を主な AI ツールとして使っていますが、それ以外の職種の方は Cursor を使っています。
そのため AI ツールに依存しないスキル配布の仕組みである gh skill(※2)を採用しました。gh skill は GitHub CLI の拡張で、GitHub リポジトリに置いたスキルを手元の AI ツールに取り込めるようにする仕組みです。
ここで共通化できるのは スキルの配布・インストール・管理 の部分です。スキルの中身そのものは、利用する AI ツールに合わせて書きます(特定の AI ツール前提のスキルを、ツール非依存に変えてくれるわけではありません)。
npx skills の選択肢もありましたが、昨今のサプライチェーン攻撃を鑑みて見送っています。
(※2)gh skill の詳細は公式リポジトリ(TODO: 公開リンクを記入)を参照してください。
工夫2:専用スキルで Git 操作を隠し、登録・更新・インストールを自然言語だけでできるようにした
また普段ソースコードに触れる機会が少なく Git に不慣れな方もいます。
そのためスキルの登録・更新・インストールなどの操作は専用のスキルを配布することで Git 操作を隠蔽しました。
専用スキル(※3)を実行するだけで worktree・ブランチ作成 → スキル定義の実装 → コミット・プッシュ・プルリクエスト作成 をやってくれます。
利用者はどんなスキルを作りたいか自然言語で注文し、その後 GitHub にてプルリクエストをマージするだけでスキルを登録できるようにしています。
| やりたいこと | 使うコマンド | やってくれること |
|---|---|---|
| 作る | /myskill-create |
雛形づくりから登録の準備(プルリクエスト作成)まで |
| 使う | /myskill-sync |
公開されたスキルを手元の Claude Code / Cursor に取り込む |
| 育てる | /myskill-improve |
公開されたスキルを利用した会話のセッションを振り返って、スキルの改善 PR を作成する |
少し細かいですが、インストールは引数を変えるだけで、自分のスキルだけでなく、気が向いたら他の人のスキルも簡単に取り込めます。
# 引数なし:自分のスキルを一式インストール /myskill-sync # 第1引数:指定した人のスキルを一式インストール /myskill-sync <ユーザー名> # 第2引数:指定した人の特定スキルだけインストール /myskill-sync <ユーザー名> <スキル名>
(※3)専用スキルの導入はスクリプトファイル化して、簡単にしています。
工夫3:専用の GitHub Pages を用意し、宣伝活動(社内 LT 会での発表、個別の声かけ)を実施した
仕組みを作ってもそもそも「そういう場所がある」と気づいてもらえなければ使われません。
認知拡大のため、宣伝活動・ドキュメント整備に取り組んでいます。
宣伝活動:使っていない人が使い始める
認知して使ってもらうきっかけを作るために以下のような活動に取り組んでいます。
派手なやり方ではありませんが、こうした地道な働きかけが、結果としていちばん効いていると感じています。
- 社内の会議体で紹介する:開発 LT 会・開発組織の会議体などの場で、取り組みについて紹介しています。
- 面白い個人スキルをピックアップして紹介記事を書く:公開されたスキルの中から、「こういう発想でスキルにするのか」と参考になるものを選んで、社内向けの紹介記事を書いています。作ってみたくなる入り口になればと思っています。
- 興味がありそうな人に個別にアプローチする:社内 Slack・Notion にて日々
AIskillスキルClaudeCursorといった言葉で検索し、AI 活用に関心が高そうな方を見つけて、個別にアプローチしてスキルの登録を案内しています。
ドキュメント整備:使い始めた人がさらに使いこなす
スキル用リポジトリにて Starlight ベースの GitHub Pages を社内公開しています。
使い始めた人が躓かないように、さらに使ってもらえるように以下のコンテンツを用意しています。
導入手順
トラブルシューティングも含めて手順を公開しています。

公開してくれた人の一覧
トップページに、スキルを公開してくれた人のアイコンを並べています。アイコンから、その人のスキル一覧へたどれるようにし、「この人がこういうスキルを作っているんだ」と気づくきっかけを提供しています。

スキルの説明ページ
人ごと・スキルごとに、スキルの使い方・どんな問題を解消してくれるのかなどの情報を載せています。説明ページを手動で作るのは大変なので、AI で自動生成しています。

最後に
今回は、スキル共有の仕組みを「使ってもらう」ための工夫を紹介してきました。正直、普及はまだ道半ばです(対象の 3 割ほど)。それでも、9 部署・複数の職種に広がり、QA・デザイン・PM などエンジニア以外の方にも少しずつ使われ始めています。
実際に生まれているスキルも、開発作業に限りません。たとえば——
- QA の職種では、テスト観点の洗い出しから手順書づくり・自動テストコードの生成・実行・レビューまでを、一連のスキル群にしている方がいます。
- デザイナーは、UI 文言を UX とテクニカルライティングの両面からレビューするスキルや、デザインレビュー資料のたたき台を作るスキルを公開しています。
- PdM は、リリースノートやサポート向けのドキュメントを下書きするスキルを公開しています。
このように、一人ひとりの「いつもの作業」をスキルにする動きが、職種を越えて広がっています。
また、自分の周りでも「それ、スキル化できるんじゃない?」「あなたのスキル、良さそうだから使ってみるね!」という会話が生まれ、日頃の業務の小さな改善がたくさん生まれています。その様子を見られるのが、推進活動の何よりの励みです。
仕組みは作って終わりではなく、使ってもらうための工夫を続けてはじめて根づきます。同じように悩んでいる方の、何かのヒントになれば幸いです。
hacomono では、こうした社内の AI 活用やナレッジ共有の仕組みづくりを、一緒に進めていく仲間を募集しています。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひご連絡ください。